情報3・4年講義『量子力学』のページ
講義概要
量子力学は計算機の動作原理を支えている物理理論であり,
少し深く情報を研究すれば必要となります. この講義科目は
情報科学科創始以来存在する由緒正しいものですが, これまでは
いろいろと講義が多くて, ここまで起源に戻って学習する余裕もなく,
一度も開講されずに来ました. しかし近年量子計算機や量子暗号の
研究が活発になり, 単に原理を学ぶと云う教養的なものから,
直接情報理論の対象となる実用的(?)価値を持つようになって
来ました. この講義ではこのような最近の流れを紹介するとともに,
あわよくば卒研のテーマを見つけたい.
主な内容:
- 量子力学の基礎
- 計算量理論
- 量子計算機の原理と Risa によるエミュレーション
- Shor のアルゴリズム
- 量子誤り訂正符号
- 量子暗号
教科書
教科書は指定しません. いくつか参考書が出ていますが, そのうちの二つ程を
紹介しておきます.
評価
成績評価は随時課されるレポートによる.
実際の講義の概要
- 10月3日 学会のため休講
- 10月10日 講義の計画を話し, 情報科学科で物理を学ぶ意義を論じ, 量子力学の入門に入って初期の歴史を話しました.
- 10月17日 量子力学入門の2回目として, 量子化, 波動函数とその解釈, エルミート行列とユニタリ行列などの話をしました.
- 10月24日 量子力学でし残した不確定性原理の話をしたあと, 量子チューリング機械の解説をしました.
- 10月31日 出張のため休講
- 11月7日 量子論理ゲートの解説をしました.
- 11月14日 量子論理ゲートを組み合わせて種々の複雑な回路を実現する話をしました.
- 11月21日 風邪のため突然休講にしてすみませんでした.
- 11月28日 任意のユニタリ変換が基本的なゲートの組合せで書けることの証明を紹介します.
- 12月5日 前回の続きで, 証明を終えました.
- 12月12日 計算量理論の復習と, 量子計算機の場合にそれがどうなるかを話しました.
なお, 先週から共通3号館の壁塗り工事で, ひどい騒音なので, 静かになるまで講義は理3号館の小生の研究室301号で行います.
- 12月19日 古典計算機では指数時間かかるが量子計算機では多項式時間で計算できる問題の代表例である Deutsch-Jozsa の問題を紹介しました.
- 1月9日 量子計算機が一躍注目を集めるきっかけを与えた, 素因数分解を量子計算機により確率的多項式時間で解く Shor のアルゴリズムの紹介をしました.
ちょっと早いですが, 修論と卒論でこれから忙しくなるので, このサービス講義はこれで幕とします. 記念に単位を欲しいという人は早めに連絡してください.
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