数学科『数理逍遥2』のページ
【プロローグ】
昔の数学科には応用数学の講座が有ったのですが,情報科学科の設立時に
割譲されました.そのとき小山敏子先生と竹尾富貴子先生が情報科学科に
移籍され,情報科学科における数学教育の礎を築かれました.
僕は小山先生が定年で去られた後にやってきました.専門は超函数と
偏微分方程式でしたが,小山先生がおやりになっていた符号理論の伝統有る
講義を続けるため,勉強を始めました.途中で暗号のお話も取り入れ,
そのうち岡本龍明先生と三浦晋示先生というすばらしい専門家に親しく学ぶ
機会も得て,次第に充実した講義ができるようになり,教科書の執筆も順調に
進むところまで来ました.ところが,このところ肝心の聴衆が減り始め,講義が
終了するころには1人残るかどうかという有り様になってしまいました.
そこで,数学科の先生にお願いして,数学科から聴衆を集めるため,
数理逍遥のコマを使わせて頂くことにしました.
僕が属するポストの上述した由来を考えれば,僕が数学科向けに
応用数学の手解きを講義するのはごく自然なことだと思いますので,
よろしくおつき合いください.(*^^*)
ただし,この科目はどの学年でも聞けるように科目番号を毎年変えているので,
どうしても僕の講義を連続して取りたい!という人のために,
暗号の講義は隔年とし,間のとしは別のテーマを取り上げることにしました.
今年はちょうどその間の年にあたるので,暗号ではなく,幾何学をテーマとし
ます.
【講義内容】
コンピュータを使って数学を勉強する機会が有った人が,最初に
感動するのは,コンピュータがいとも簡単に難しい函数のグラフを
描いてくれるのを見たときだったという人も多いのではありませんか?
この講義では,そのようなことを可能にするしくみを解説し,
更に進んだ幾何学的問題をコンピュータに解かせるための知識を
解説します.
希望者には,このようなことを可能にするフリーソフトを
手持ちのパソコンにインストールしたり使うための解説もします.
【参考書】
教科書はただいま執筆中なので,ありません.(*^^*)
ただし,一昨年の数理逍遥のテーマとして取り上げた数値計算の
教科書が出ました.コンピュータの解説の部分や,函数のグラフの描き方
などは参考になると思いますので,生協で手に取ってみて,気に入ったら
購入して,数値計算の勉強も一緒にしちゃいましょう.
CG の一般的な参考書としては, もと情報科学科スタッフの藤代先生たちが書いた
『コンピュータグラフィックス』がお勧めです:
計算幾何学の本格的な参考書です. 日本語訳もあります.
半年でこれ一冊紹介するのは無理くらいな
量なので, この講義ではほんのちょっとだけやります.
興味を持った人は,
計算幾何学の講義の過去ログ
を見てください.
【成績評価】
この講義の成績は出席とレポートで付けます.
出席は, 毎回講義の感想を書いてもらうことで行います.
【期末レポート】
期末レポートは,講義中にお話ししたレポート問題 (そのほとんどは
プレゼン資料に書かれています) のいくつかを解くか,自分でこの講義に
関連して考えたことをまとめて書いてください.
レポートの採点は, 数学科の先生に教わったこの科目の採点基準である,
『熱意が感じられるレポートにはAを付ける』方針で行います.
★ レポートの提出期限:8月31日(月)18:00
★ レポートの提出法:次のいずれか.
- (1) 電子メールで添付. (どのアドレスから
でも良いですが, Subject 欄にエンコードしない半角ローマ字で
Shouyou Report と記してください.
(宛先は途中で変更した後の出席メールのアドレス (atom が入っているもの)
にしてください.)
- (2) 印刷して理学部3号館3階307号室 (金子研) で直接手渡し
(締め切り日の1週間前くらいから,『キタキツネのレポートボックス』を扉の近くに
出して置きますので,不在の場合はそこに入れてください.)
- (3) 遠方に帰省中で, メールが使えない人は大学の住所で
私宛に印刷版を郵送でも結構です. 自分の名前を書くのを忘れないように!
【実際の講義概要と予定】
講義の進行とともにここに書き込んで行きます.
- 4月14日(火):第1回 コンピュータのしくみ
コンピュータは文字や画像などのデータをどのように取り扱い,画面に
表示しているかについて説明しました.
cg1.pdf
第1回講義のプレゼンの pdf ファイル (2009.4.18 改訂版)
- 4月21日(火):第2回 函数のグラフを描こう
1変数や2変数の函数のグラフを描く方法を解説し,投影法の紹介をしました.
cg2.pdf
第2回講義のプレゼンの pdf ファイル
- 4月28日(火):第3回 投影法と射影幾何学
透視図法と射影幾何学の解説をしました.
cg3.pdf
第3回講義のプレゼンの pdf ファイル (2009.5.12, 20:45 改訂版)
- 5月12日(火):第4回 陰影と陰面処理
第2回のときちょっと例をみせた3次元グラフィックスにおける
陰影や隠面処理の技法を紹介し, OpenGL による描画例をいくつか見せました.
cg4.pdf
第4回講義のプレゼンの pdf ファイル
- 5月19日(火):第5回 フラクタル図形の描画
フラクタルは数学的興味から応用数学としても重要なものになっています.
フラクタルの数学的基礎を紹介した後,CG の観点からその描写力を
確かめました.
cg5.pdf
第5回講義のプレゼンの pdf ファイル (2009.5.19.22:33 改訂
版)
- 5月26日(火): Cygwin の講習会
講義の際に,筑波で開かれる気象学会に研究室の学生と参加するため休講を
予告しましたが,ぶたさんのために前半部の国際会議が中止となりました.
なので,この日は大学に居ます.今から普通の講義に戻すというのも何なので,
急遽上記の講習会に切り替えます.一斉メールで
お知らせしたように,インストールを希望する人は,予め
Subject に Cygwin と書いたメールで申し込んでください.
出席者が少数のときは,会場を教室から金子研に変更するかも
しれません.
ということでしたが,実際に出席者は3名だけで,金子研実習室でやりました.
みなさん欲が無いですね. (^^;
- 6月2日(火):第6回 フーリエ級数とフーリエ変換
応用数学の重要な道具であるフーリエ変換の解説をし,その画像への効用
についてお話しする予定でしたが,通常のフーリエ級数とフーリエ変換の解説だけで
終わってしまいました.
cg6.pdf
第6回講義のプレゼンの pdf ファイル
- 6月9日(火):第7回 フーリエ変換の画像解析への応用
離散フーリエ変換の解説と,その実際の画像データへの応用の
話をしました.
cg7.pdf
第7回講義のプレゼンの pdf ファイル
- 6月16日(火):第8回 指紋の話
前回できなかった高速フーリエ変換 FFT の解説をした後,
指紋同定の話をしました.
cg8.pdf
第8回講義のプレゼンの pdf ファイル
- 6月23日(火):第9回 コンピュータトモグラフィ
脳の内部を切らずに映し出す魔法のような CT スキャンの歴史と
その技術に使われる数学の紹介をしました.
cg9.pdf
第9回講義のプレゼンの pdf ファイル
- 6月30日(火):第10回 コンピュータトモグラフィ - 2
CT の再構成アルゴリズムの解説と反転公式の証明をしました.
その後,駆け足で幾何学的トモグラフィと,ラドン変換の画像解析への
応用であるハフ変換の紹介をし,最後に CT のシミュレーションのプログラム
を実行して見せました.
cga.pdf
第10回講義のプレゼンの pdf ファイル
- 7月7日(火):第11回 計算幾何学1
コンピュータで幾何の問題を解く計算幾何学の概要を紹介し,基礎的な
例として,平面の点集合の凸包の計算を取り上げ,見本プログラムの実演
をしました.
cgb.pdf
第11回講義のプレゼンの pdf ファイル
- 7月14日(火):第12回 計算幾何学2
ボロノイ図とドロネー3角形分割の解説をしました.
cgc.pdf
第12回講義のプレゼンの pdf ファイル
- 7月21日(火):休講
試験はありませんので,以上でこの講義は終了です.
成績は出席とレポートでつけます.レポートの提出法の詳細は,
このページの上の方に (もう4月から) 書いてあります.
【コンピュータグラフィックス関係のサイトへのリンク集】
講義の参考にするため, 集めました.
OpenGL Reference Manual ウェッブ版
GLUT
の本部サイト
OpenGL の機能拡張である GLUT のソースが置いてあります.
CERN の PAW のサイト
標準画像のデータベース
画像解析で使うための標準画像
フリーのペイントソフト gimp の
本部サイト
Mac OS X 用のものも置いてあります. X11 も同時にインストールできます.
gimp のマニュアル(英語).
残念ながら日本語版はありません.
フリーな 3d レンダリングソフト
Blender の本部サイト
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